Channel No.42

趣味についてのいろいろ

松山久美子、短冊を吊るす

七月七日は七夕の日。天の川を隔てて離れ離れになった織姫と彦星の二人が一年に一度、逢瀬を交わす日である。

いつもの事務所には少し早めに笹が持ち込まれたようで、低い所には年少アイドル達、少し高めには中高生アイドル達の書いた短冊がわさっとぶら下がっていた。

「おはようございます。あら、どうしたのかしら」

松山久美子が事務所に現れた丁度その時、千川ちひろは笹を見て途方に暮れていた。想定よりも沢山の短冊が下がってしまったせいで笹の自立が難しくなってしまったそうだ。

もう一つ頼んでいた笹がそろそろ届くが、それまでにこの短冊たちを一度外して付け直さなくてはならない。

「ええ、良いわよ。ピアノ教室でも七夕が終わった後に生徒の子たちの短冊を集めたりしてたの」

言い終わるが早いか、慣れた手つきで各所に散りばめられた短冊を回収していく。

素朴な願いや少し背伸びをしたお願い、短冊を回収しながら皆の願いを眺めくすりと笑う。

一時間程で届いた新しい笹に半分ずつ吊していく彼女。

ひときわよく見える場所に吊るされた短冊には、どんな願いが込められたのだろうか。

 

短冊の付け替え作業を見ていた脇山珠美は「竹はその生育の速さから成長のシンボルとして知られています。私もそうありたいですね」と言うと、短冊を掛けるためジャンプ…届かなかった。