Channel No.42

趣味についてのいろいろ

松山久美子、電車を降りる

いつもの電車のいつもの降車駅、そこから少し進んでみるといつもは見れない景色がある。

日常からのちょっとした逸脱、皆さんも一度はやったことがあるのではないだろうか?

「さ、これからどうしようかしら。ちょっと足を延ばしすぎたかな」

抜けるような青空の下、大都市郊外の一角にある駅に降り立った彼女はひとまず喫茶店に入るようだ。アイスカフェオレを注文した彼女はこの町の地図を貰い何やら印を付け始めた。

「これからどこに行こうかなって、面白そうな場所をチェックしてるの。まあちょっとだけね」

アイスカフェオレを飲みながら喫茶店の内装をぐるりと見回す。ちょっとした手作り雑貨も販売しているようだ。あら…これなんていいわね…と一つシュシュを手に取り店主を呼ぶ。

無事購入するとシュシュで髪を留め、差すような日の光を浴びながら昼の町へ。

商店街を抜け小高い山の方へ彼女は歩き緩やかな坂道を登っていく。地図に印を入れていた地点に着くとそこはこの町を広く見渡せる良いポイントのようだ。

汗を拭いてふと笑顔を見せる彼女の背後には大きな入道雲、夏の匂いがした。

 

旅について並木芽衣子は「非日常としての旅は、偶然の要素が大きければ大きいほど際立って記憶されるものです。サイコロ片手の旅もよいかもしれませんね」と言い残すとボストンバッグ片手に深夜バスへと消えていった。